管理組合
地震、台風、大雨、火災時の対応をどうするのかという問題は、管理組合として重要な課題の一つです。
認知症高齢者の問題は、総会への参加が可能か。ゴミ処理はなされているのか(ゴミ屋敷他)。徘徊や他住戸訪問、管理費の滞納などがあります。規約でルール化できるのか。
マンション管理組合として考えるとき、管理規約などでルール化できるかという視点と、人間が生活をしている環境という広い視点との双方で検討することが重要と思います。
以下は最初に管理規約の視点を考えて、次に広く住環境と言う視点を考えてみましょう。
(1)管理規約の視点
2016年改正の標準管理規約の考え方は、以下のとおりです。
それまで規定していたコミュニティ条項を削除して、32条12号で「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と改められました。
それによって「防災に関する業務」及び「住環境の維持及び向上に関する業務」を規定したこととなります。
そして、これらの業務は区分所有法3条の「建物並びに…管理を行うため…規約を定め…」としている規定に根拠を置くこととなります。
上記のふたつの業務はコミュニティ形成を具体化したものと言われています。
防災に関する業務は建物の維持管理に直結し、派生的に防災時の居住者の生命・財産及び生活に関する業務と広げることは可能と考えますが、居住環境の維持・向上に関する業務をどう理解するのかは検討すべき事項です。
居住者の中に認知症高齢者が存在することを前提として居住環境の維持・向上を図ることと理解すれば何らかの対応が可能となります。
(2)防災について
マンション管理標準指針について(平成17年12月国交省)
その中で、管理組合の運営の一つに防災対策があり、防火管理者の選任、消防設備点検、災害対策マニュアル作成などが挙げられています。
管理規約で、防災対策マニュアルを作成する条項は可能か。
災害時の安否確認のルールは可能か。
災害時のために飲料水・非常食などの備蓄は可能か。
マンションを一時避難所とすることは可能か。
(3)認知症高齢者について
認知症高齢者に対する対応を考慮したものを含ませることが可能か。
高齢者の支援見守りをルール化することは可能か。
居住者名簿の作成は可能か。その利用ルールを作成することは可能か。
3、広く居住環境の視点
(1)防災について
災害対策基本法6条には「住民は、食料、飲料水、その他の生活必需物質の備蓄、その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、…認めなければならない」と規定されている。マンションの住民もこの法律に言う住民であるから、飲料水などの備蓄を求められている。
大阪市の防災力向上アクションプラン策定マニュアルより
「管理組合に自主防災組織を立ち上げることが必要」とされています。
防災委員会を設立することは可能か。
(2)認知症高齢者について
豊島区マンション管理推進条例や、横浜市のマンション管理・再生の手引きが参考となります。
いずれも、コミュニティの形成を中心として、高齢者の支援・見守りなどを挙げています。
飲料水・非常食の備蓄について
これらを購入して備蓄しておくことになりますが、私はこう考えます。
飲料水は、給水設備が機能しなくなった場合の対応として備蓄することになりますので、設備の不具合を補うためのもので管理行為にあたります。
非常食ですが、これも自宅で調理ができないことを想定しているとすれば、設備の不具合ですから、これを補うためのものとなります。
居住者名簿は、地震時の災害時に居住者の安否確認や、高齢者、障がい者、乳幼児等の避難支援に役立ちます。
マンション管理組合は、平成29年5月30日に施行された改正個人情報保護法において、個人情報取扱事業者とされました。居住者の防災名簿を作成するにあたっては、個人情報保護法が定めるルールに注意して作成することが必要です。
個人情報を取得するときのルール
個人情報を取得するときは、何に使うか目的を決めて、本人に伝える必要があります。管理組合が居住者から個人情報を取得するときには書面によることが多いと思いますが、その書面に「地震時の災害時に居住者の安否確認と避難支援のため」と明示すると良いでしょう